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空き家対策

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実家が空き家になっても離れて暮らしているとなかなか手入れはできません。 年々増えている空き家への対策をご紹介します。

相談事例から学ぶ空き家対策

実家が「空き家」になってから2年が経ちますが手入れにもなかなか行けません。
今後どのように処分したらよいのか悩んでいます。(相談者 Hさん・58歳・女性)

相談内容

2年前に、ひとり暮らしをしていた母が亡くなり、実家が「空き家」になりました。
私は実家から離れて暮らしているので、手入れもなかなかできません。先日、久しぶりに帰省したのですが、庭は荒れ放題でした。
このままではいけないと思いながらもどうすればよいのか悩んでいます。法律が変わって『「空き家」が「特定空家」と判断されたら、固定資産税が最大で6倍!』という情報を目にし、ますます不安です。どのような対策があるのか教えてください。

アドバイス

ご実家とお住まいが離れていると、お手入れのためだけに頻繁に通うのは難しいですね。日々の生活に追われ、空き家対策が先延ばしになりがちです。思い出が詰まったご実家ですので、なかなか決断しにくいと思いますが、「空き家」は放置しておいてもあまりよいことはありません。ここでは「空き家」に関するデメリットとその対策についてご紹介します。

実家などの空き家は3年以内に決断!『空き家』問題の3大デメリット

景観・治安の悪化

無人となってしまった空き家は、雑草の繁殖や落ち葉がたまり、景観が損なわれるのに時間はかかりません。また、ごみや廃棄物を不法投棄されることも少なくありません。こうなると、地域の防災や防犯機能が低下するため、空き巣被害や不審者の侵入など、犯罪が発生しやすくなり、近隣へ迷惑や損害を与えてしまうことになります。

資産価値の低下

建物は、人が住まなくなるとどんどん劣化していき老朽化します。「1年ぶりに空き家となった実家に帰ると雨どいが割れてその下に大きな水たまりができていた。さらにその部分の外壁が湿気ていた。一度メンテナンスしてほしい」というご相談もありました。家屋内では、水回りの臭いやカビなど衛生上の問題が起こると、売却する際に価値が下がることがあります。

税金問題

空き家も不動産ですから、「固定資産税」がかかります。住宅用不動産の場合、「住宅用地特例」という税金軽減の措置が設けられており、建物がない土地に比べて、住宅用家屋が建っている土地は、最大6分の1に軽減されます。それが、2015年「空家法」の施行に伴い、適用されない場合が出てきました。税金として負担が課せられるのは大きなデメリットとなります。

大切なのは一刻も早い税金対策

大切なのは一刻も早い税金対策
「特定空家」と判断されたら固定資産税が最大で6倍!

次の4つのように放置が不適切である状態に該当する「特定空家」に認定されると、固定資産税が最大6倍となり、市町村が撤去を命じることも可能になります。

  • 1) 倒壊の恐れや老朽化により保安上の危険があるもの
  • 2) ごみの不法投棄や浄化槽の放置による衛生面で有害なもの
  • 3) 外見上の傷みや立木の繁茂などの周囲の景観をそこなっているもの
  • 4) その周辺の生活環境の保護を図るために放置することが不適切な状態にあるもの
不動産は、相続から3年以内に売ると、売却益のうち3,000万円までは特別控除

「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」によると相続の開始があった日から3年目を経過する日の属する年の12月31日までに相続の開始直前において被相続人の居住の用に供されていた不動産を売った場合には、売却益から3,000万円まで控除することができます。

その他相続した家屋の要件

  • 1) 相続の開始直前において当該被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと
  • 2) 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
  • 3) 区分所有建物登録がされている建物でないこと

※1 適用期間:平成28年4月1日~令和5年12月31日までの間に売却

※2 売却代金が1億円以下の被相続人の居住用財産に限られる

※3 特例を受けるためには、家屋は一定の耐震基準を満たすものであること
また、家屋全部を取り壊した後にその敷地を売る場合も当てはまる 等

実家の「空き家」をどうするか。考えられる3パターン

実家の「空き家」をどうするか。考えられる3パターン
自分の持ち家にする

まず、実家に住むという選択肢が考えられます。 土地や建物の広さが適しているか、通勤・通学に影響がないか、リフォームの必要はないのかなどをチェック。

賃貸にする

賃貸にするにはリフォームが必要になります。各部屋の設備の新設だけでも相応の費用が必要です。リフォームに必要な費用に加え、入居者はすぐに見つかるのか、建物の維持費はどのくらい必要なのかなど、専門家に相談しましょう。立地や土地建物の広さによっては、賃貸が最良の選択になることもあり得ます。

売却する

売却をするにはまず査定が必要です。査定とは、不動産の価値を金額に換算して評価するものです。この査定により、売却希望額の基準額が設定できます。一方で、売れる立地なのか、建物はこのままでいいのかなど、まずは売却可能かどうかを査定します。

おわりに

今回は空き家問題のデメリットや税金対策についてご紹介しました。
税金は金額面で大きな負担となることもあるでしょう。
思い出のある実家ではありますが早めに決断するようにしましょう。

監修
中川義敬

中川義敬

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士

東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業承継」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。
日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com/)

橋本珠美

橋本珠美

2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)

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